3月の上旬、川の下流で遊んでいる際、たも網で見慣れない小魚を掬いました。
見慣れない小魚(素人ゆえ😓)
川の下流で、見慣れない小魚を掬いました。ボラの稚魚が群れになって泳いでいるは分かるのですが、ボラの稚魚とはぱっと見の感じが異なります。上から見ると全体の色は濃い黄色というか、薄い褐色というか微妙な色で、川の底の泥の色に似た色になっており、保護色として良く機能していると思います。
また、色の濃い斑点が全身に点在しています。さらに頭部と背びれの間に、この魚の種類によるものか、この個体の特徴なのか、どちらなのかは分かりませんが、比較的大きな色の濃い部分があります。
全体的にスラッとしている感じがします。上から見ていてもよく分からないので、異なる角度からも観察してみます。
正面に近い角度から見ると目の割合が大きいことが分かります。成魚ではなく稚魚だからでしょうか。
口は上向きで、よく見ると細かい歯のような物が生えているように見えます。
パーマーク?!
余りハッキリしていないのですが、体に楕円状の斑点が複数並んでいることが確認できます。この模様はサケ科の幼魚の体側にあるパーマークではないかと考えています。パーはParrと綴るのですが、サケの幼魚という意味があります。上から見た際に確認できた斑点はパーマークの背中側の部分が見えていたのかもしれません。これがあることで上から見た際、川底の砂利などに自然に溶け込みやすくなり、カモフラージュの効果が高まると考えられます。
脂ひれ?!
また、背びれと尾びれの間にはサケ科魚類の特徴である脂ひれ(あぶらひれ)のようなひれを確認することができます。サケ科魚類の種苗放流現場では、放流魚と天然魚を区別するため、脂ひれをカットする “ひれ切り標識” が広くおこなわれているとのこと。これは、脂ひれを切ってもあまり生存に影響しないため行われていると考えられます。
脂ひれの役割
そうなると、「脂ひれは何のためにあるのか?」という疑問がわきます。
人の場合、例えば虫垂は、急性虫垂炎を発症した際に手術で切除するという治療方法がとられる組織です。これは虫垂が不必要な組織=生存に影響しない無用の長物、と考えられていたからだと思います。しかし、平成26年に大阪大学と科学技術振興機構(JST)は「虫垂に存在するリンパ組織が、粘膜免疫で重要な役割を果たすIgAの産生に重要な場であり、腸内細菌叢の制御に関与していることを突き止めた。」と発表しています。つまり、IgAは腸内細菌叢の維持に重要な抗体であるため、虫垂がなくなると、大腸の腸内細菌叢のバランスが崩れることになるので、不必要な組織と言い切れない、ということの様です。(少しわき道にそれました🙇)
脂ひれについては、その機能に関する学術論文が発表されており、以下が推察されています。
- 脂ひれが付いていることで効率よく遊泳できるようになっている。
- 脂ひれの基部に神経の分布がみられ、尾ひれの動きを制御するセンサーとして働いている可能性がある。
- 脂ひれによる遊泳力の違いが性的二型(繁殖期のサケ科魚類オスの脂ひれがメスより大きいこと)の要因となっている。
など…
やはり、脂ひれには明確な役割がありそうです。
サケ科の稚魚だが….
この魚は「サケ科の稚魚である」と判断しても良いのではないかと考えております(間違っていたらすみません。)。
では、その魚種は何なのか?
この川では、サケをはじめとしてイワナ,ヤマメ,ニジマスなどサケ科の魚類が生息しているようです。捕獲した位置が川の下流域であることから、この稚魚は海へ下る途中だったのではないかと想像しています(単なる感で、根拠はありません)。この場合、降海型のニジマスか、サケが候補になると思います。
いずれにしても、海で大きく育ち、再びこの川に戻ってきてもらうためにも、リリースしようと思います。
リリース
水槽を傾けて、稚魚をリリースしました。川底の色とマッチしていて目を離すと見失いそうです。
なかなか水槽から離れず、たまに水槽の中に戻ってしまうので、水槽を起こしました。すると川底の泥が舞上り、水が濁ってしまいました。こうなると益々背景に溶け込んで見難くなります。
さようなら✋ 元気に育って下さい!
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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